ご当地サポーター
アートとクラフト、美食を巡る金沢の女子旅

情緒ある街並みが広がる人気のエリア「ひがし茶屋街」を中心に、車がなくても巡れる女子旅を楽しんでみませんか。ギャラリーやクラフトショップで金沢土産を選んだら、町家を再生した和食店や日本酒バー、静かなカフェで一休み。「主計街(かずえまち)茶屋街」近くを流れる浅野川沿いの小道は、文学散歩にぴったりです。

北陸発・エッジの効いたアイテムをお土産に

繊細な色合いが美しいHANAMOKKO(はなもっこ)の腕時計。時計20,000円〜、ベルト2,000円〜(各税別)
繊細な色合いが美しいHANAMOKKO(はなもっこ)の腕時計。時計20,000円〜、ベルト2,000円〜(各税別)

古い町家の細いアプローチを進み、靴を脱いで建物に入ると、そこには北陸三県に在住する作家や企業の作品が並んでいます。セレクトするのは、伝統工芸に新しいアイデアを加えた、他にはないアイテムばかり。作り手の思いを伝えるべく、コンシェルジュが丁寧に解説してくれます。おすすめは、日本画家がデザインした「HANAMOKKO」の腕時計。日本の伝統的な絵の具「岩絵具」や金箔を使った端正な文字盤と、カラフルな革や組み紐のベルトを組み合わせれば、自分だけの1本が作れます。

趣あふれる町家と蔵の空間も見事

エントランスを入って左側には、明治時代の内蔵が残されている
エントランスを入って左側には、明治時代の内蔵が残されている

三味線の先生が住んでいたという、風情ある町家の空間そのものも見どころ。建物内には約130年前の蔵もあります。小さな中庭に面した和室には、手土産にぴったりの食品を用意。中でも金沢の老舗「落雁(らくがん)諸江屋」による、茶屋街の格子戸を模した落雁「彩格子」は、ここでしか買えない一品です。この他、モダンな色彩の「山中漆器」や「加賀友禅」模様のタイツ、富山県の「螺鈿(らでん)グラス」、福井県のメガネフレーム素材で作るアクセサリーなど、現代の暮らしを彩るアイテムが揃います。

東山ギャラリーエッジ
  • URLhttps://www.higashiyama-edge.com/
  • 住所石川県金沢市東山1-13-7 MAP
  • アクセスJR金沢駅から車で約9分
  • バスアクセスJR金沢駅から周遊バス乗車、「橋場町」下車徒歩約5分
  • 営業時間10:00~17:00
  • 定休日1月1日
  • TEL076-282-9909
  • 駐車場無し

北陸で活躍する若手作家のアイテムが集結

光のきらめきを追求した箔のオブジェをディスプレイ
光のきらめきを追求した箔のオブジェをディスプレイ

若い世代の工芸作家を中心に、北陸にゆかりのある作家の作品を集めたギャラリー&セレクトショップ。奥に中庭が見える築150年の町家に入ると、箔デザイナーによる純金箔やプラチナ箔を使ったきらびやかな作品がひときわ目を引きます。その他、伝統的な技法を用いながら、現代の暮らしに取り入れられるアイテムが多数。インド更紗をモチーフにした「九谷焼」のプレートや、「加賀水引」細工、漆、和紙で作るアクセサリーなど、金沢土産にしたい逸品ばかりです。

伝統工芸をモダンなアクセサリーに

左から、和紙のイヤリング7,700円、銅のピアス6,600円、ファブリックのピアス3,800円
左から、和紙のイヤリング7,700円、銅のピアス6,600円、ファブリックのピアス3,800円

金沢市二俣町の伝統工芸品「二俣和紙」を樹脂でコーティングしたイヤリングは、「板締め絞り」という染色で鮮やかな色合いが特徴。ボリューム感あるデザインながら、和紙ならではの軽い着け心地と透け感が魅力です。
金工作家が作る銅のピアスは、富山県高岡の伝統的な着色技術で変色させたもの。片面に金箔を施し、表裏で異なる表情に仕上げています。
型染めとオリジナル刺繍によるファブリックのピアスも人気のアイテム。1つずつ異なる色と柄の組み合わせに、手仕事のぬくもりが感じられます。

縁煌(えにしら)
  • URLhttps://www.enishira.co.jp/
  • 住所石川県金沢市東山1-13-10 MAP
  • アクセスJR金沢駅から車で約9分
  • バスアクセスJR金沢駅から周遊バス乗車、「橋場町」下車徒歩約5分
  • 営業時間10:00~17:00
  • 定休日不定休
  • TEL076-225-8241
  • 駐車場無し

日常を楽しくしてくれる、ポップで愛らしい九谷焼

遊び心あふれる絵柄の小皿やカップがずらり。箸置きのガチャも
遊び心あふれる絵柄の小皿やカップがずらり。箸置きのガチャも

「ひがし茶屋街」から浅野川大橋を渡ったところにある、古い町家を再生した「八百萬本舗(やおよろずほんぽ)」。その一角に、かわいらしい器が並ぶショップがあります。運営するのは、金沢を代表する高級食器「九谷焼」をもっと身近に楽しんでほしいという思いから生まれた、九谷焼の転写ブランド。転写とは、古くから九谷で用いられてきた技術で、和絵の具を印刷した転写シールを器に貼って焼き付けて作ります。伝統の九谷五彩がカラフルに映える、愛らしくておめでたい絵柄が満載です。

オリジナル作品が作れるワークショップも毎日開催

ワークショップは予約制で1日4回。料金は1,980円~(器により異なる。送料別)
ワークショップは予約制で1日4回。料金は1,980円~(器により異なる。送料別)

自分だけの「九谷焼」が作れるワークショップも毎日開催しています。ポップなネコのモチーフをはじめ、「クタニシール」ならではのかわいい絵柄や文字のシールを好きなだけ選んで、白い小皿やカップに貼り付けていきます。ネコに魚をくわえさせるなど、シールの組み合わせ次第で他にはないオリジナルのデザインも。絵を描くのが苦手な人も簡単に楽しめると評判で、90分以内であれば何個でも作れます。焼き上がりは約1カ月後。完成品が届いたら、金沢の楽しい思い出がよみがえります。

KUTANI SEAL SHOP(クタニシールショップ)
  • URLhttp://www.kutaniseal.com/
  • 住所石川県金沢市尾張町2-14-20「八百萬本舗」内 MAP
  • アクセスJR金沢駅から車で約7分
  • バスアクセスJR金沢駅から周遊バス乗車、「橋場町」下車徒歩すぐ
  • 営業時間9:30~18:00
  • 定休日無休(臨時休業あり)
  • TEL076-213-5148
  • 駐車場無し

暮らしに寄り添う金沢の工芸品が勢揃い

「色絵ジョン盃」各13,200円(手前右)、「黒釉(くろゆう)白ジョンKOP」 25,300円(奥右)など
「色絵ジョン盃」各13,200円(手前右)、「黒釉(くろゆう)白ジョンKOP」 25,300円(奥右)など

「ひがし茶屋街」のメインストリートに佇む、工芸セレクトショップの先駆け店です。築200年ほどの町家は、店主の祖母が女将をしていた頃から続くお茶屋の建物。1階の店内では「アートと暮らし」をテーマに、金沢ゆかりの若手工芸作家によるクラフト作品やアクセサリー、ジュエリーなどをセレクトしています。陶芸作品で人気なのは、ジョンという名前の犬をモチーフにした色絵のシリーズで、美しい九谷五彩とユーモラスな絵柄が織り成す独特の世界観に心惹かれます。

職人が手作りした手軽な小物も豊富

「友禅ガマグチ」2,200円、畳の縁(へり)のカードケース650円、メガネケース1,200円など
「友禅ガマグチ」2,200円、畳の縁(へり)のカードケース650円、メガネケース1,200円など

「九谷焼」に加え、「加賀水引」や「加賀友禅」の作家が作った、普段使いできる小物類も充実しています。友禅職人が手染めした生地でできた「友禅ガマグチ」は、コロンとした愛らしい形とモダンなツートンカラーが調和した一品。畳の縁で作ったカードケースやメガネケースは、金沢の畳職人の手によるもので、花柄やドットなど現代風の生地をおしゃれに生かしています。この他、ヘアアクセサリーやハンカチ、ポーチなど、手軽な金沢土産にぴったりのアイテムが並びます。

玉匣(たまくしげ)
  • URLhttp://www.tamakushige.com/
  • 住所石川県金沢市東山1-14-7 MAP
  • アクセスJR金沢駅から車で約9分
  • バスアクセスJR金沢駅から周遊バス乗車、「橋場町」下車徒歩約5分
  • 営業時間10:00~17:00
  • 定休日火曜
  • TEL076-225-7455
  • 駐車場無し

ノスタルジックな佇まいとそば会席を楽しむ

昼のコース4,500円と7,000円、夜のコース9,800円(各税別)。写真は八寸とメインの蕎麦
昼のコース4,500円と7,000円、夜のコース9,800円(各税別)。写真は八寸とメインの蕎麦

東京のそば懐石の名店で13年腕を磨いた店主が、奥さんの実家がある金沢に移住して開店。昼・夜ともに、蕎麦をメインとした季節の料理をコースで提供しています。昼は先付、八寸、粗めに手挽きしたそば粉で作るふんわりやわらかいそばがき、天ぷらなどの揚げ物、そして主役の蕎麦、水菓子と続きます。例えば写真の八寸は、「とうもろこしのすり流し」「青梅の蜜煮」「あずき貝(バイ貝)の煮付け」「鮎の煮浸し」など、地のものを中心に季節感あふれる料理が並びます。

風味のいい粗びきの蕎麦を味わう豊かな時間

「ひがし茶屋街」に立つ築100年ほどの建物をセンス良く活用
「ひがし茶屋街」に立つ築100年ほどの建物をセンス良く活用

メインの蕎麦は、力強い味わいを持つ福井県産の越前在来種を使用。店内にある石臼で粗びきにしたそば粉を細打ちにし、香りが良く、しっかりとした風味とのど越しのいい蕎麦に仕上げています。
ノスタルジックな空間も魅力。大正初期のお茶屋だった建物を、なるべく手を加えずに再利用したもので、古いたんすやランプシェードなどがしっくりなじんで趣が感じられます。3テーブル、10席のみの小さな店なので、予約は必須。絶品蕎麦と旬の料理で、ゆったりとした時間が過ごせる一軒です。

蕎味 櫂(きょうみ かい)
  • URLhttp://r.goope.jp/kyoumi-kai
  • 住所石川県金沢市東山1-23-10 MAP
  • アクセスJR金沢駅から車で約9分
  • バスアクセスJR金沢駅から周遊バス乗車、「橋場町」下車徒歩約5分
  • 営業時間12:00~13:00(最終入店)、18:00~19:30(最終入店) ※要予約(前日まで)
  • 定休日日曜、第1月曜(祝日の場合は営業)
  • TEL076-252-8008
  • 駐車場無し

老舗酒蔵の日本酒を気軽に飲み比べ

「飲み比べセット」1,300円。ハタハタの燻製などおつまみも付く
「飲み比べセット」1,300円。ハタハタの燻製などおつまみも付く

1625年(寛永2年)創業、金沢で最も長い歴史と伝統を持つ酒蔵が「ひがし茶屋街」に開いた店。情緒ある空間は、昭和の名妓が住んでいた明治初期の茶屋をリノベーションしたものです。
店内のシックなバーでは、高級酒から日常のお酒まで、福光屋の日本酒や米焼酎を気軽に味わえます。おすすめは、酒米の磨き方や造りの違いによって異なる味わいが楽しめる日本酒の飲み比べ。人気の3種類を味わって、お気に入りの一杯を見つけてみましょう。

芳醇な酒かす香るソフトクリームを

「酒かすみるくソフト」450円
「酒かすみるくソフト」450円

酒蔵ならではのスイーツも女性に評判。「酒かすみるくソフト」は、地元でナンバーワンのシェアを誇る「福正宗」純米吟醸の酒かすを使ったもので、3年熟成させた濃厚な本みりんシロップをかけていただきます。酒かすの香りが鼻腔をくすぐり、まろやかな甘さが口いっぱいに。この他、凍らせた糀(こうじ)甘酒をふんわり削った「甘酒氷」も夏季限定で登場します。ショップでは、日本酒をはじめ、米発酵から生まれる甘酒や調味料などの食品、コスメ、器や手ぬぐいなどが購入できます。

福光屋 ひがし

伝統製法で生まれる発酵食の原点、糀の店を訪ねて

生糀(なまこうじ)は量り売りで120円(100g)、杉桶味噌1,000円(1kg)、甘酒750円(500g)など(各税別)
生糀(なまこうじ)は量り売りで120円(100g)、杉桶味噌1,000円(1kg)、甘酒750円(500g)など(各税別)

1830年(天保元年)創業の糀専門店。現在は八代目店主が、伝統の製法で糀を作っています。地下にある室(むろ)の中でゆっくり発酵させた糀は、金沢の冬の風物詩「かぶら寿司」に欠かせないもの。ブリとカブを糀で漬け込み、素材の旨みを引き出したかぶら寿司は、冬季限定の人気商品です。
この他揃うのは、木桶で寝かせた「杉桶味噌」や香り高い「花街味噌」、多彩な料理に使える塩糀や甘酒など。縄のれんがかかった軒先で対面販売する昔ながらのスタイルも、雰囲気があります。

江戸時代の面影を残す町家建築も必見

作業場はギャラリースペースとしても活用
作業場はギャラリースペースとしても活用

創業当初から使われている建物は、江戸時代後期の典型的な町家建築で、金沢市の保存建造物に指定されています。作業場はどっしりとした梁が見事で、湯気を逃すため、3階部分まで吹き抜けになった高い天井が印象的。この場所にある大きな桶で、米を蒸したり大豆を煮たりしています。
作業のピークを外れた春~秋には、全国の作家による陶器や漆器、染織、版画などの工芸作品を展示するギャラリーになることもあり、買い物がてら、作家の手仕事に触れることができます。

高木糀(こうじ)商店
  • URLhttp://takagikouji.com/
  • 住所石川県金沢市東山1-9-3 MAP
  • アクセスJR金沢駅から車で約8分
  • バスアクセスJR金沢駅から周遊バス乗車、「橋場町」下車徒歩約5分
  • 営業時間9:00~19:00
  • 定休日1月1日
  • TEL076-252-7461
  • 駐車場無料

ぜんざいとコーヒーで心ほぐれるひとときを

削った小豆氷がひんやりおいしい「ぜんざいセット」(コーヒー付き)1,000円
削った小豆氷がひんやりおいしい「ぜんざいセット」(コーヒー付き)1,000円

ひと休みするなら、「主計町(かずえまち)茶屋街」に佇む和のカフェへ。1913年(大正2年)建築の建物には、風情あるお茶屋の面影が色濃く残っています。メニューを注文する前に、輪島塗の器でお茶と羊羹(ようかん)が供されるのも、心あたたまるサービス。甘味の人気は「ぜんざい」で、お餅入りのあたたかいものと、バニラアイスをのせた氷ぜんざいから選べます。オリジナルブレンドの「土家スペシャルコーヒー」や、甘い香りのベトナムの豆を使った「ダラットコーヒー」とともに楽しみましょう。

艶やかなお茶屋の広間にうっとり

広々としたお座敷。建物裏手には、芸妓さんの稽古場である検番があり、横笛やお囃子の音が聞こえることも
広々としたお座敷。建物裏手には、芸妓さんの稽古場である検番があり、横笛やお囃子の音が聞こえることも

1階の窓には、中から外が見やすく外から中が見えづらい、木虫籠(きむすこ)と呼ばれる格子が付いています。窓際席に座れば、格子越しに浅野川沿いの小道が想像以上によく見えます。お茶屋特有の造りは上の階にも。大きな階段で2階に上がれば、紅殻(べんがら)色の壁が優美な広間がお出迎え。お茶屋だった頃からほぼ手を加えていないそうで、華やかなお座敷遊びの風景が目に浮かぶようです。窓の外には桜並木が広がり、春はもちろん、冬の雪景色も一興。いろいろな季節に訪れてみたいカフェです。

土家
  • URLhttp://www.tuchiya.sakura.ne.jp/
  • 住所石川県金沢市主計町2-3 MAP
  • アクセスJR金沢駅から車で約8分
  • バスアクセスJR金沢駅から周遊バス乗車、「橋場町」下車徒歩約2分
  • 営業時間10:00頃~17:00頃
  • 定休日月・火曜(祝日の場合は翌日休み)
  • TEL080-3748-4702
  • 駐車場無し

金沢を代表する2人の作家にゆかりの浅野川沿いを散歩

夜は幻想的にライトアップされる「梅ノ橋」。「ひがし茶屋街」側のたもとには「徳田秋聲記念館」が
夜は幻想的にライトアップされる「梅ノ橋」。「ひがし茶屋街」側のたもとには「徳田秋聲記念館」が

ゆるやかに流れる浅野川の界隈は、2人の偉大な作家にゆかりのある場所です。「主計町(かずえまち)茶屋街」の裏手で生まれた泉鏡花(いずみきょうか)は、明治後期から昭和初期にかけて300編あまりの作品を生んだ文豪。「ひがし茶屋街」寄りの川沿いに住んでいた徳田秋聲(とくだしゅうせい)は、鏡花と同時期に活躍した作家で、自然主義文学の大家です。その縁から、浅野川を挟んで主計町側の小道は「鏡花のみち」、ひがし茶屋街側の小道は「秋聲のみち」と名付けられ、親しまれています。

小説の舞台になった郷愁あふれる橋を巡る

人力車で観光するのも楽しい主計町茶屋街
人力車で観光するのも楽しい主計町茶屋街

松並木が続く「梅ノ橋」周辺は、河原近くまで下りると遊歩道が整備されており、川沿いの風を感じながら歩くことができます。鏡花の小説の舞台でもあり、近くにはヒロインの像が設置されています。「浅野川大橋」を過ぎると、町家の建物が並ぶ「主計町茶屋街」に。桜並木が美しく、夏になると川床が建てられ涼を呼んでいます。木製の欄干がレトロな「中の橋」も鏡花の作品に登場することから、文学碑も飾られています。四季折々に風情漂う川沿いの小道をゆったりと散策してみましょう。

鏡花のみち、秋聲のみち
  • 住所石川県金沢市東山 MAP
  • アクセスJR金沢駅から車で約9分
  • バスアクセスJR金沢駅から周遊バス乗車、「橋場町」下車徒歩約5分
  • TEL076-232-5555(金沢市観光協会)
  • 駐車場無し
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