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日光のお酒といえば片山酒造!明治時代から続く酒蔵の秘密とは

旅に欠かせないもののひとつに、現地の特産品があります。その地でしか食べられないものや、触れられないものとの出合いは旅の醍醐味でもあります。
日光・鬼怒川エリアの有名な蔵元であり、全国新酒鑑評会にて金賞を受賞した「片山酒造」をご紹介します。

下今市駅から徒歩10分弱、今市駅から徒歩約15分に位置する片山酒造は、1880年(明治13年)創業の蔵元。素材や製法に独自のこだわりを貫く酒造りで、大手酒造メーカーには真似できない逸品を揃えています。
駐車場も完備していますが、試飲をしたい方はバスや徒歩で訪れましょう。

現在は、「下野杜氏(しもつけとうじ)」の資格を持つ6代目当主、片山貴之さんが酒造りの技法を受け継ぎ、この蔵元を守っています。

下野杜氏(しもつけとうじ)とは

伝統の手造り技法で日本酒を醸すリーダーを、古来より我々酒造業界では「杜氏」と呼んでいます。
新潟県の「越後杜氏」や岩手県の「南部杜氏」などの杜氏集団が有名ですが、古来伝統の職人技術であるが故の宿命で、杜氏の高齢化による後継者不足が業界内で危惧されています。

片山酒造では水道水を使わずに酒造りをしています。その造り方の秘密に迫ります。

酒蔵の入り口にある井戸。明治時代から枯れることなく湧き続けているこの井戸水を使うことが、おいしい酒になる秘密のひとつ。
この井戸水を求めて、関東一円から汲みに来る方がいるくらい格別な水なのです。
片山酒造の店頭には、井戸水を持ち帰りできるようにペットボトルでの販売も行っていますので、お酒とともに飲んでみてはいかがでしょうか。

そして日本酒に欠かせないのがお米。
大手メーカーでは一年中お酒を造っていますが、ここ片山酒造では秋の新米で寒仕込みを行うため生産の季節が限られています。大吟醸で使用している酒米(酒造好適米)は兵庫県産特Aランクの「山田錦」、酵母は栃木県産を使っています。

酒米の水分含有率などのデータを取りながら、その日の水の温度と空気の乾燥具合などで毎日お米を冷やす時間を変えています。お米の芯が割れないように人の目でしっかり管理しています。こうやって大切に手をかけて造られていくので、なかなか味わうことができない逸品になっていくのです。

湯気を通す穴を開けた素焼きの土器「甑(こしき)」で約800kgのお米を蒸す。

天井には化学的な塗料を使わず柿渋が塗ってあります。

建物が作られた明治時代にはまだ電気もなく、当時の職人技と知恵が生きた造りの酒蔵になっています。

酒蔵に入ると緑の大きなタンクが10基ほど並んでおり、非常にひんやりとしています。屋根の上にさらに屋根を作り、空気の抜け道を設けることで温度を調節。酒蔵の外には大きな樫の木が蔵を隠すよう枝を伸ばし、直射日光や朝日が当たらないように工夫されています。当時は釘を一本も使っていないという建築様式。大きな地震があっても一度もタンクが倒れず無事だった貴重な酒蔵は、当時の職人さんの知恵が詰まっています。

タンクに蒸した米1.5t、酵母菌、水を入れて発酵。職人の手作業によって丹念に造られています。米が発酵したら4日ほどかけて自然にお酒が落ちてくるのを待つ方法で絞ります。

その様子を紹介した片山酒造のホームページにもある動画です。

上記の過程を経て40日ほどでお酒が出来あがります。
寒仕込みなのでお酒を絞るのは2月頃となります。
杜氏の技が光る日本酒のひとつが、無濾過のお酒「素顔」。
圧をかける前に最初に落ちてきた上澄み部分のお酒で、−5℃の冷蔵庫で保存し春先から店頭に並びます。
年間通して販売できるように保存してありますが、売り切れになることもあるそうです。

ひと夏熟成させてから秋限定で店頭に並ぶのが「冷やおろし」。
このお酒は夏にタンクで寝かせてから9μmのフィルターを通してろ過をしていきます。
その他にも片山酒造のお酒は約20種類あります。

大吟醸を求めて、地元はもちろん全国からも多くの方が訪れるそうです。以前は東京などでも購入できたものの、品質を維持するため酒造りに集中できるよう、現在では蔵元での販売以外は原則お断りをしているそうです。
ぜひ卸して欲しいという声も多い中、味が最優先という職人の姿勢を貫いています。
インターネットでの購入は受け付けているので、試してみてはいかがでしょうか。

テレビ番組でも取り上げられた酒ケーキ

レギュラーサイズ(230g)とロングサイズ(350g)の2種類があり、常温で2カ月持つのでお土産にも最適。酒の旨みとケーキの甘さが程よく、どなたにも楽しめる人気のケーキです。
銘酒とケーキが並ぶ片山酒造。
日光・鬼怒川へお越しの際は、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

片山酒造
  • URLhttp://www.kashiwazakari.com/
  • 住所栃木県日光市瀬川146-2 MAP
  • アクセス東武鉄道上今市駅から徒歩約9分
    JR下今市駅から徒歩約15分
  • 営業時間8:00~18:00
  • 入場料無料
  • TEL0288-21-0039
  • 駐車場無料

観光を楽しんた後は、温泉宿でくつろぎのひとときはいかがでしょうか。星野リゾートの温泉ブランド「界」は、栃木県内で3軒の旅館を運営しています。里山の風情豊かな「界 川治」、とちぎ民藝を散りばめた「界 鬼怒川」、中禅寺湖の絶景を望む「界 日光」。ぜひお気に入りの宿をみつけてください。

渓流沿いの露天風呂に浸かり、里山の知恵を体験する

「里山工房」では大豆を石臼を挽くきなこ作り(無料)や、和紙の手漉き体験(無料)が楽しめる
「里山工房」では大豆を石臼を挽くきなこ作り(無料)や、和紙の手漉き体験(無料)が楽しめる

都内から電車で2時間半、川治温泉郷にある里山風情ただよう温泉旅館です。男女各2か所の露天風呂では渓流のせせらぎの音を聞きながら、贅沢な湯浴みを堪能できます。
「界 川治」では里山の日常生活に根付いた知恵を楽しめます。敷地内には水車小屋があり、仕組みを見学できます。館内では、石臼で挽くきな粉づくり(無料)や紙漉き(無料)などの体験も。客室は、栃木県鹿沼地方で栽培されている麻を使用した「野州麻紙の間」をご用意。麻紙の温もりに包まれた空間でくつろぎのひとときを過ごせます。
お食事は、猪肉のジビエ料理など、里山を感じさせる会席料理をお楽しみください。

界 川治

モダンな温泉宿で、とちぎ民藝に親しむ

毎晩開催の「益子焼ナイト」(無料)では、「益子焼マイスター」が器の楽しみ方を楽しく紹介
毎晩開催の「益子焼ナイト」(無料)では、「益子焼マイスター」が器の楽しみ方を楽しく紹介

鬼怒川温泉駅から車で約5分。鬼怒川渓流に面した小高い丘の上に佇む温泉旅館です。スロープカーで辿り着くエントランスホールには、益子焼でできた水琴窟からの柔らかく澄んだ音がこだまします。館内のいたるところで、栃木の伝統工芸品「益子焼」「黒羽藍染」「大谷石」が使われており、民藝に縁の深い土地ならではのおもてなしが感じられます。
中庭に面した露天風呂では、四季折々の美しい景色を眺めながら湯浴みを楽しめます。客室は、全室が「とちぎ民藝の間」となっており、伝統工芸を散りばめた空間でくつろぎのひとときを過ごせます。
お食事は、約800℃に熱した焼き石を使ってお客様の目の前で料理を仕上げる「龍神会席」をご用意。ダイナミックな味わいをご堪能ください。

界 鬼怒川

中禅寺湖の絶景を望む温泉で、日光の文化に触れる

客室は全室が60㎡以上のゆとりのある贅沢な造り。ほぼ全ての部屋から中禅寺湖と男体山を望むことができる
客室は全室が60㎡以上のゆとりのある贅沢な造り。ほぼ全ての部屋から中禅寺湖と男体山を望むことができる

日光駅からバスで約40分。奥日光の入り口に位置し、中禅寺湖のほとりに佇む温泉旅館。中禅寺湖は標高約1,300mと日本一標高の高い湖として知られ、夏でも約 20℃と過ごしやすいことから、避暑地として親しまれてきました。
界 日光は3,000坪の敷地に33室だけのゆとりある贅を尽くした造り。日光東照宮をはじめとする社寺を中心に発展した建具「鹿沼組子」を客室やロビーに取り入れています。温泉は、アルカリ性の単純泉。体に優しく、長湯をしても疲れにくいので、何度も温泉を楽しめます。お食事は「日光湯波」を華やかな日光彫の器に盛り付けた会席料理をお召し上がりいただけます。
滞在を通じて、美しい景観を楽しみながら、日光の地が育んだ雅で華やかな文化に触れることができます。

界 日光
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