ご当地サポーター
草間彌生も考古学も。アートのまち「松本」で巡る美術館・博物館巡り

草間彌生の原点に触れられる松本市美術館をはじめとした現代美術が、歴史豊かなまちに融合した松本市。その新旧が交わる独特の世界観が訪れた人を魅了し、「アートのまち」として不動の人気を誇っています。また、市内には、現代美術のほか、考古学から近代芸術文化まで多彩なジャンルの美術館や博物館が揃うので、感性を刺激するまち歩きを存分に楽しめます。

草間彌生アートに出合える美術館

草間彌生「幻の華」2002年、「松本から未来へ」2016年
草間彌生「幻の華」2002年、「松本から未来へ」2016年

松本駅から徒歩12分ほどにある「松本市美術館」は、壁面のデザインや入り口で存在感を放つ、松本市出身の世界的なアーティスト草間彌生氏の野外彫刻作品「幻の華」で有名です。
松本に縁のある作家を中心とした作品展示を行い、作品鑑賞に留まらず市民ギャラリーも併設して、地域との交流を行う総合美術館となっています。

作品のバリエーションも豊富な展示

田村一男記念展示室
田村一男記念展示室

館内は、1階に一般市民や子ども向けのアトリエスペースがあり、2階は市民ギャラリーや企画展示室が設けられています。3階は松本市にゆかりのある作家の作品が中心で、松本市出身の書道家・上條信山、彫刻家・細川宗英、信州の山を描き続けた洋画家・田村一男の作品が常設展示されています。書道、洋画、彫刻、現代美術などあらゆる視点から芸術に触れられるので、3階だけでも見ごたえは十分です。
併設のミュージアムショップでは、収蔵作品のポストカードやグッズを販売しているので、印象に残った作品をお土産としてお持ち帰りできます。

ご当地サポーターコメント
常設展のほかにも年間を通してさまざまな企画展示やワークショップ、講演会、コンサートなども行っています。
松本市美術館
  • URLhttp://matsumoto-artmuse.jp/
  • 住所長野県松本市中央4-2-22 MAP
  • アクセス松本駅から徒歩約12分
  • バスアクセス松本駅よりアルピコ交通バス「北市内線東まわり」乗車「松本市美術館」下車
    松本駅よりタウンスニーカー「東コース」乗車「松本市美術館」下車
  • 営業時間9:00~17:00(入場は16:30まで)
  • 定休日月曜・年末年始
  • 入場料コレクション展 大人410円・大学高校生200円・中学生以下は無料
  • TEL0263-39-7400
  • 駐車場無料

18世紀イギリス製の古時計は必見

グランドファーザークロック
グランドファーザークロック

2002年に開館した博物館で、古時計の研究者であり時計技師でもあった、故 本田親蔵氏が生涯かけて収集した、貴重な和洋の時計を松本市に寄贈したコレクションが中心。「動いている時計を見てもらいたい」と語った本田さんの遺志を受け、動いている状態の時計を展示できるように、専任技師が毎日メンテナンスをしています。正時(毎時)になると、館内あちこちから聞こえる時報の音色も楽しいものです。
展示物の中でも圧巻なのが、高さ2m以上の「グランドファーザークロック」。18世紀のイギリスで使われていた時計で、装飾も素晴らしく重厚で品格があります。2m以下はグランドマザークロックと呼び、博物館の別の場所で展示されています。また、博物館の外壁には日本最大級と言われる振子型時計がシンボルとして設置してあり、通りからすぐに見つけられます。

貴重な江戸時代の和時計も

2階には、江戸時代から明治初期に制作・使用されていた珍しい和時計も展示されています。江戸中期の櫓時計もそのひとつです。貴重な和時計からデザインが美しい西洋時計、大型の置き時計、懐中時計など、さまざまな古い時計が時代を超えて時を刻んでいます。
また、かつては時計技師が整備していたという縁から、古い蓄音機も展示。土日休日にはSPレコードの鑑賞会を行っています。本田コレクションを中心に、県内外から寄贈された古い時計を600点余り所蔵しており、分かりやすい展示方法やイベントも多い博物館です。

ご当地サポーターコメント
古いものから新しいもの、懐かしい時計もあり楽しめます。年代物の時計も動いていて、管理やお手入れに感服します。
松本市時計博物館
  • URLhttp://matsu-haku.com/tokei/
  • 住所長野県松本市中央1-21-15 MAP
  • アクセスJR松本駅から徒歩約10分
  • 営業時間9:00~17:00(16:30最終入館)
  • 定休日月曜(休日の場合は翌日)、12月29日~1月3日
  • 入場料大人300円(高校生以上)、小人150円(中学生以下)
  • TEL0263-36-0969
  • 駐車場無し

縄文時代の土器を間近で鑑賞

松本市郊外の中山地区というのどかな山村地帯にあり、松本平地域で発掘された縄文時代を中心に平安時代辺りまでの資料を展示。このエリアは中山古墳群があり、小規模の円墳が並び、副葬品も多く出土している宝庫でもあります。博物館周辺のイラストマップも用意されているので、古墳の様子を見たり、復元されている竪穴式住居などを巡るのも楽しいでしょう。
今から約5000年前の縄文時代の土器は華やかな縄目の文様があり、縄文時代後期へ向かって唐草文様になっていく土器の変化を見るのも興味深いものです。貴重な出土品の多くがオープン展示なので、間近でじっくり観察できます。

古代体験できるメニューがいろいろ

自分の手で古代体験
自分の手で古代体験

展示室内には、バラバラの土器を元通りに組み立てる土器パズルや、触っても良い土器片や黒曜石もあります。また、粘土に縄文の模様を付けたり、木の実を擦りつぶしたりする、ミニ古代体験コーナーもあり、子どもたちにも人気。古代の弓矢を飛ばす体験や弓矢作り講座、縄文土器作り講座、勾玉作り講座や火起こし講座など、さまざまなイベントが開催されています。申し込みが必要なので、事前にイベント情報を確認しましょう。

ご当地サポーターコメント
この博物館の特徴は、古代の土器などに触ったり、勾玉や土器を自分で作ったり体験できることです。子どもも楽しめる工夫が素敵です。
松本市立考古博物館
  • URLhttp://matsu-haku.com/kouko/
  • 住所長野県松本市中山3738-1 MAP
  • アクセスJR南松本駅より車で約10分
  • 営業時間9:00~17:00(16:30最終入館)
  • 定休日3~11月 月曜、12~2月 土・日、祝日のみ営業、年末年始
  • 入場料大人 200円(高校生以上)、小人 無料(中学生以下)
  • TEL0263-86-4710
  • 駐車場無料

素朴な美しさが魅力的な民芸品の数々

日常使いされていた水瓶や「松本箪笥(たんす)」などを展示
日常使いされていた水瓶や「松本箪笥(たんす)」などを展示

松本市を代表する民芸運動家、故・丸山太郎が1962年(昭和37年)に創設した博物館。日本伝統の壁塗り様式「なまこ壁」の蔵造りの外観が特徴的です。館内では、丸山氏が生涯を通じて収集した約6800点以上もの国内外の民芸品の中から、常時800点ほどを展示公開。松本市の伝統工芸「松本箪笥」をはじめ、竹や籐で編んだ籠・行李(こうり)、壺やかめなどが展示されています。美術品や骨董品とは異なり、人々が日常的に使っていた民芸品は、シンプルな美しさがあり、見ているだけで心が和みます。

時代や地域性によって異なる、デザインの違いにも注目

それぞれに個性が光る「ウィンザーチェア」などの椅子
それぞれに個性が光る「ウィンザーチェア」などの椅子

館内には、松本市をはじめ国内外で制作された家具が展示されています。その佇まいはシンプルでありながら優雅な雰囲気も併せ持っています。時代ごとにデザインや形も様々で、中でも椅子は座るための家具でありながら、その違いが顕著に表れており、見応えがあります。
年に4回開催される企画展では、丸山氏が好んで集めた古伊万里や瀬戸の焼き物の展示など、多彩な切り口が話題となっています。施設内には、オリジナルグッズを扱うミュージアムショップもあり、お土産選びにもおすすめです。

松本民芸館
  • URLhttp://matsu-haku.com/mingei/
  • 住所長野県松本市里山辺1313-1 MAP
  • バスアクセスJR松本駅から路線バス「美ケ原温泉線」乗車約15分、「松本民芸館」下車徒歩約3分
  • 営業時間9:00〜17:00(16:30最終入館)
  • 定休日月曜(祝日の場合は開館、翌日休み)、年末年始
  • 入場料大人(高校生以上)310円、中学生以下無料
  • TEL0263-33-1569

信州の近代史を肌で感じられる貴重な建物群

生糸を製造している様子を展示した「旧昭和興業製糸場」
生糸を製造している様子を展示した「旧昭和興業製糸場」

江戸時代後期から昭和初期にかけて、主に松本市近郊に建てられた貴重な建築物5棟を移築し、展示保存している「たてもの野外博物館」です。2017年に国の重要文化財に指定された「旧松本地区裁判所庁舎」をはじめ、映画やドラマの撮影等に使われたこともある「旧昭和興業製糸場」などが、きれいに整備され保存されています。施設内にいると、松本の近代の歩みと文化を肌で感じられるとともに、過去にタイムスリップしたかのような不思議な空気感も楽しめます。

当時の裁判室の雰囲気をリアルに体感

明治時代の法廷を再現
明治時代の法廷を再現

施設内は、撮影も可能。「旧松本地区裁判所庁舎」では、法廷で明治憲法下の裁判所で使用された法服のレプリカを着用し撮影ができます。他に、ボランティアガイドによるツアーガイド(無料)がおすすめ。展示保存されている建物の歴史を一つ一つ丁寧に知ることで、より信州の歴史をリアルに感じることができます。
ミュージアムショップでは、「全面勝訴」「不当判決」とプリントされた手ぬぐいなどのオリジナル商品や、松本の伝統技術で作成された小物などを購入できます。

松本市歴史の里
  • URLhttp://matsu-haku.com/rekishinosato/
  • 住所長野県松本市大字島立2196-1 MAP
  • アクセス松本電鉄大庭駅から徒歩約15分
  • 営業時間9:00〜17:00(16:00最終入館)
  • 定休日月曜(祝日の場合は営業、翌日休み)、年末年始
  • 入場料大人(高校生以上)410円、中学生以下無料
  • TEL0263-47-4515
  • メモツアーガイドは要事前予約。1人から対応可

観光を楽しんだ後は、歴史ある浅間温泉で疲れを癒してはいかがでしょうか。音楽に造詣が深い松本の文化を楽しめるよう、館内では毎晩コンサートを開催。長野ワインを味わいながら、旅情溢れる時間を過ごせます。

八種十三通りの湯浴みで、浅間温泉を満喫する

毎晩開催の「ロビーコンサート」(無料)
毎晩開催の「ロビーコンサート」(無料)

松本駅から車で約15分。国宝松本城の奥座敷として栄えた浅間温泉。閑静な温泉郷に佇むワインと美食を楽しめる温泉旅館です。現代建築家の先鋭的な感性と、日本の伝統工芸美が調和したデザインが特徴です。温泉では、日本では珍しい「ラディアントバス」(体温より少し高い温泉が循環する寝椅子型の温浴方法)や、檜の芳香を楽しむ「檜おがくず風呂」、「寝湯」など八種十三通りの湯浴みで、松本城主の御殿湯(ごてんゆ)もあったという浅間の湯を堪能することができます。夜は音楽の街、松本にちなみ、地元の音楽家によるロビーコンサートを毎晩開催しています。地元産ワインも常時50種類以上そろえ、音楽とワインに酔いしれる時間を過ごすことができます。

界 松本
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