Vol.3定住でなく「空き別荘を貸す」は
地方自治体の新たな収入源になるはず。

星野:
ホテル業界が入ってくるのはひとつ手ではありますね。ウエルカムですか?
田邉:
素晴らしい体験を提供されている旅館や民宿のお部屋は、弊社のサイトにはすでに数部屋はあったりします。
 シェアリングエコノミーのエコノミーの部分で、不動産、金融、物流の方にお話すると全然違うアイデアが生まれてきます。
 別荘をもっと、空いている時期に貸し出せば、別荘を持てる人が増えるという不動産業者さんもいる。あまりにも縛ってしまうと、そこから生まれてくるアイデアを縛ることになりますよね。それは良くないと思います。
星野:
確かに、軽井沢の別荘は8月しか稼動していなくて、それ以外誰もいない別荘地が子どもの頃の私たちの遊び場だったんです。軽井沢の別荘は柵を作ってはいけないという条例があるので好き勝手できるんですよ(笑)。
でも今考えると、その11ヶ月に別荘を誰かに貸せるとしたら、水も電気も稼動するし、町内のレストランもスーパーも閑散期が減る。シェアリングエコノミーが与える観光地へのインパクトって大きいですよね。
越後湯沢のリゾートマンションも、一部屋20万円くらいで売っているんです。地方こそ、シェアリングエコノミーやAirbnbをやるべきだと思います。そこは何かアイデアはありますか?

話しは民泊の未来から、定住に頼らない別荘を利用した地方自治体の収入確保などについてまで。話しは民泊の未来から、定住に頼らない別荘を利用した地方自治体の収入確保などについてまで。

田邉:
ご存知とは思いますが、海外では*バケーションレンタルという考え方がありまして、*チャネルマネージャーというプラットフォームもあるんですけど、まだまだこれから先のこととして考えてはいきたいですね。
星野:
別荘を貸すことは、都市計画法というのが問題になるんですよね。用途制限がかかっちゃっていて。別荘で商売をしちゃいけないっていう。本当は地方経済にとってプラスだと思うのですが。
田邉:
地方の方とお話しすると、例えば1週間住んでみて、これだったら住めると思ってもらえる人を増やしたいということも聞こえてきます。
星野:
別荘があるということは固定資産税を払ってもらっているのですから、まずはそちらを大事にしたほうがいいと思います。Airbnbが来て別荘の稼働率が上がって別荘地の値段が上がる。Airbnbで販売することを想定していいものを建てるだろうし。固定資産税が上がるし、そのほうが絶対に地方自治体にとっていいと思います。
別荘をシェアして使ってもらう、ファンになってもらって、地方納税制度にもっていく。そのほうが短期的にいい収入になると思いますよ。
*バケーションレンタル
別荘地域の別荘を貸し出すこと
*チャネルマネージャー
複数のプラットフォームとバケーションレンタルのオーナーなどを自動的につなぐシステムのこと。

借りる側も貸す側も評価されれば、
安全は自然に生まれるはず。

星野:
田邉さんを含むAirbnbの経営陣は、日本の観光業界がどうなっていくかという責任を担っていると思います。それは中途半端な規制に納得しないということです!あんまりディフェンシブに回らず、本来あるべき姿を目指してほしい。そんなことやっていたら日本だけ遅れますよ、と。
田邉:
今、日本政府が進めている規制緩和は、我々にとっても非常にうれしい方向で進んでいます。星野さんが思われる理想の形はどんな形ですか。
星野:
完全フリーにすることが理想の形です。安全さえも担保する必要はないと思っています。Airbnbのいいところは、貸す側も利用者を評価することができるところです。行儀のいい高い評価の顧客でなければ貸さない、ってうことができる。
田邉:
断ることもできますからね。
星野:
そうです。マーケットの正しい評価に任せればいいと思ってます。あるいは、c to cの間に安全のための新しいサービスが生まれてくると思います。顧客を評価する第三者機関とか、Airbnbアドバイザーみたいな人が現れて、称号をもらえるとか。自由にさせておけば、借りる側も貸す側も評価される。ある程度のリスクは自分で背負う。それが一番健全だと思います。
田邉:
同感です。マーケットプレイスでルールがなくても「断れる」ことがありますから。やりとりのチャットなかでも「違うな」と思うこともあるでしょうし。
星野:
Aさんが1ヶ月前に泊まってるけど、この人どう?みたいなことをオーナーどうしが聞けるとか。そういうサービスも含めて出てくる可能性がありますね。
田邉さん、もっとアグレッシブになったほうがいいですよ。
田邉:
ここ半年が勝負ですね。
星野:
勝負のしどころですよ。うーん。私のほうがAirbnbに向いてるかもな(笑)。ありがとうございました。

対談日:2016年4月18日

構成: 森 綾
撮影: 萩庭桂太