Vol.1日本全国87の展望タワーを制覇!

星野:
かねださんが出演しているラジオ番組を聴いて、本(『日本展望タワー大全』)も読ませてもらって、おもしろい方がいるなあと思っていたんです。
かねだ:
恐縮です……!ありがとうございます。

通天閣5Fの「黄金の展望台」から、来春オープン予定の星野リゾート「OMO7大阪」を見つけて眺めるふたり通天閣5Fの「黄金の展望台」から、来春オープン予定の星野リゾート「OMO7大阪」を見つけて眺めるふたり

星野:
かねださんは日本中の展望タワーを巡っているんですよね。
かねだ:
はい。2011年から展望タワー、展望室、展望台……日本全国で展望を目的として建てられた場所を巡ってきまして、その数は350を超えました。
星野:
それはすごい!結構たくさん展望場所があるんですね。
かねだ:
私が巡っているものには展望台も含まれていて、展望タワー自体は、全国で100あります。
星野:
そのうちのどれくらいにのぼっているんですか?
かねだ:
87です。車の免許を持っていないので、公共交通機関で行けないところや休業中のところにはまだ行けていないんです。
星野:
残り13のタワーの中で、休業中のものも含め、特に行ってみたいところはありますか?
かねだ:
ひとつは、北海道最東端の根室にある望郷の塔、通称「オーロラタワー」ですね。長い間休業をしているのですが、北方領土が一望できるんです。閉業ではなく休業なので、再開することを期待しながら、待ち侘びています。

望郷の塔(オーロラタワー)と納沙布岬の夕日。北海道で一番早い初日の出が見られる場所でもある望郷の塔(オーロラタワー)と納沙布岬の夕日。北海道で一番早い初日の出が見られる場所でもある

星野:
いいですね。ほかにはありますか?
かねだ:
あとは、茨城県の守谷市役所本庁舎にある「守谷展望塔 シンボルタワー」にものぼってみたいです。市役所なので平日しか開いてないんですよ。私は普段、会社員をしているので、なかなか平日に行けなくて。
星野:
平日にしか開いてないなんて、もったいない!休業しているところにもかけあって、かねださんの展望タワー全制覇を応援したい。というのも、かねださんの本で知ったんですが、展望タワーを盛り上げる活動をしている「全日本タワー協議会」があるんですよね?
かねだ:
はい。昭和36年に東京タワーと通天閣、名古屋テレビ塔で発足して、現在、「カンサイ」「セントラル」「ウエスト」「イースト」の4つのブロックに分けた19のタワーが加盟しています。
星野:
その19のタワーの中の、東京タワー、京都タワー、さっぽろテレビ塔の近くに、星野リゾートで都市観光を楽しむ「OMO」というホテルを開業しました。この通天閣の近くにも、来年の春(2022年4月)に「OMO7大阪」をオープンします。なので、ホテルと一緒にタワーを盛り上げていけたらと思っているんです。

2022年4月22日オープン予定の「OMO7大阪」。ディープな街、新世界を舞台に、知っているようで知らない“なにわ文化”を体験できるはず2022年4月22日オープン予定の「OMO7大阪」。ディープな街、新世界を舞台に、知っているようで知らない“なにわ文化”を体験できるはず

かねだ:
それは、タワー界もびっくりですよ!

19のタワー巡りを7年連続で達成!
展望タワーのスペシャリスト

星野:
「全日本タワー協議会」はどんな活動をしているんですか?
かねだ:
協議会では10月1日を「展望の日」に制定し、各タワーでイベントをやっています。年に1回総会があって、どんなイベントをして盛り上げていこうか、話し合っているんです。
星野:
10月1日は、語呂合わせですか?
かねだ:
10は「テン」で、1は「棒」ですね。
星野:
なるほど!おもしろい。
かねだ:
それから毎年、19の加盟タワーを巡るスタンプラリーを開催していて。300円のスタンプ帳を購入して全国のタワーのオリジナルスタンプを集めるんですが、全国各ブロックを達成すると「ブロック制覇認定証」と記念品がもらえるんです。19すべてクリアすると「完全制覇認定証」と抽選で特別記念品が贈られて、HPにも「全タワー完全制覇者」として名前が記載されます。ちなみに私は、同じカード(完全制覇認定証)を7枚持っています。
星野:
19のタワーを7年連続で制覇している!かねださんより多く達成している方は……
かねだ:
今のところは私が一番多いですかね。
星野:
展望タワーのスペシャリストの称号ですね!
かねだ:
いやいや私は、現存する展望タワーをよく巡っているただのマニアです。

対談は通天閣の事務所の会議室にて行われた。窓を開けるとタワーの鉄柱が見えることに興奮していたかねださん対談は通天閣の事務所の会議室にて行われた。窓を開けるとタワーの鉄柱が見えることに興奮していたかねださん

星野:
タワーに詳しく、精力的にその魅力を伝えていらっしゃる。肩書きとしても、「展望タワースペシャリスト」を名乗っていいと思いますよ。私が命名します(笑)。
かねだ:
ありがとうございます……!その名に恥じないよう、展望タワーの魅力を伝えていきたいです。

「私、この街を制覇した!」
知らない街を全身で感じることができるタワーの魅力

星野:
ずばり、展望タワーの魅力はどこにあるんでしょう?
かねだ:
その街の佇まいを全身で感じることができるところ、ですね。私が展望タワーの虜になったきっかけは、いまはなき新潟の「レインボータワー」でした。

昭和48年に万代シティバスセンターの一角に開業し、新潟市のランドマークにいなったレインボータワー昭和48年に万代シティバスセンターの一角に開業し、新潟市のランドマークになったレインボータワー

 
もともと私は、知らない街に行ってみたいという好奇心から、青春18切符で鉄道旅をしていたんです。当初は、神戸に行ってみよう!本州の最南端、下関に行ってみよう!と思いつくままに新宿から電車に揺られて、現地に着くことが目的の旅をしていました。

かねださんの語り口と表情からは、タワーへの愛情がひしひしと伝わってくるかねださんの語り口と表情からは、タワーへの愛情がひしひしと伝わってくる

 
そんな中、2010年の9月、日本海を見てみたい!と向かった新潟でレインボータワーに出会って。虹色のカラフルな見た目がかわいいなあ〜くらいの軽い気持ちでのぼったんですけどね。ぐるぐると回転するキャビンに乗って、高さ100mから街を見下ろしたときに「私、新潟を制覇したわ!!」という気持ちになったんです。

街中に聳え立つレインボータワー。東日本大震災の影響を受けて一部損傷したことから、営業を全面休止、翌年2012年に営業終了に街中に聳え立つレインボータワー。東日本大震災の影響を受けて一部損傷したことから、営業を全面休止、翌年2012年に営業終了に

星野:
街をすべて一望できる場所に辿り着いて見た景色が、その街に来た証のようなものになったと。
かねだ:
はい。でも、その1年後の2011年に、東日本大震災の影響でレインボータワーの営業がストップしてしまったんです。そのことが自分でもびっくりするくらいショックで。もうあのとき、あの場所から見た景色は二度と見ることができないんだ、と。そこから、全国にある展望施設を調べて、行けるうちにそこでしか見られない景色を見に行こうと、知らない街の展望タワーにのぼることを目的に旅をするようになったんです。

廃業の危機も?
いまのぼるべきタワーとは

星野:
閉業してしまうことも含め、そのタワーで「いましか見られない景色」があるわけですね。いまのぼっておくべきタワーはありますか?
かねだ:
富山県の小矢部市にある「クロスランドタワー」は、広大な耕地に民家がぽつぽつと点在する散居村の中に建っていて、異次元感があるんです。雄大な北アルプスを一望でき、季節や時間帯によっても変わる田園風景の表情を楽しめます。

最後部118mのクロスランドタワー。地上100mに展望フロアを備えており、散居村や雄大な北アルプスが一望できる最後部118mのクロスランドタワー。地上100mに展望フロアを備えており、散居村や雄大な北アルプスが一望できる

 
貴重なタワーなんですが、エレベーターが特殊なかたちをしているがゆえに部品の替えがないらしく、「エレベーターが故障したら廃止します」と宣言されているんです。「きみに運命がかかっているんだよ!」と思いながら、毎回エレベーターに乗って、故障しないことを祈っています。
星野:
そんなタワーが富山にあることさえ、知らなかった。
かねだ:
バブル景気の時代に全国で“タワーブーム”が起きて、我が街にも!と自治体が税金を使って次々にタワーを建造したんですね。近年、そうしたタワーが震災や台風の影響で、問題が見つかったのを機に、修復するのではなく廃止しよう、という方向に進んでいます。とはいえ、地元の人にとってはランドマーク的な存在で、反対運動もあるので、自治体も決めきれないまま休業となっている施設もあるんです。
星野:
“スキーブーム”のときに自治体がつくったスキー場とまったく同じ運命ですね。
かねだ:
自治体が運営しているものに限らず、解体の危機が幾度も訪れながら、なんとか生き残っているタワーも少なくありません。大分の温泉街にある「別府タワー」もそのひとつ。数々の苦境を乗り越えてきました。
別府タワーは特殊で、別府湾が見渡せる海側よりも、湯けむりが立ち上がるレトロな街側のほうが人気なんです。いい意味で、ずっと変わらない昭和のノスタルジックな温泉街の景色を味わうことができます。展望台の一角に神社があって、のぼったときはいつも「恋みくじ」を引いています。
星野:
展望タワーに神社があるんですね。
かねだ:
神社がある展望施設はいくつかあって、東京タワーにもあります。東京23区の中で一番高いところにある神社ですね。