Vol.2日本の「喫茶店」教えてくれた、
体験すべてを提供するということ

星野:
何かで読んだのですが、ジェームスさんは日本を旅している時に喫茶店を経験され、それにインスパイアされたとか。今、喫茶店はほとんど無くなってしまいましたが、東京に住んでいた大学生だった時、同じ経験をしました。とても特別な体験ですよね。
ジェームス:
はい、コーヒーの良い出来映え、価値が判ること。きめ細やかな部分の完成度が判ること。それらすべて、喫茶店で学びました。
星野:
各オーナーが、それぞれコーヒーをとても愛していますからね。
ジェームス:
しかし、それぞれのオーナーの考えがまるで違いますね。
星野:
そうですね。こだわりのオーナーは、時には私みたいな若い学生には厳しくてね。
ジェームス:
ちょっと険しい顔をして(笑)
星野:
オーナー達はフレンドリーではなかったですね。その時点ではおかしな商売だなーって思っていました。
ジェームス:
数が減ってしまったのは悲しいですが、残ったお店には頑張って欲しいですよね。日本ではコーヒーの楽しみ方がたくさんあります。喫茶店を通じて、食べ物の歴史を再発見したりすることもあります。
星野:
日本での経験がジェームスさんに本当に影響があったというのを聞いて嬉しいです。
ジェームス:
勉強中です。全くの成長過程ですけどね。

この日用意してくれたのは手作りのショートブレッド、サフラン、バニラ、シュガーヌードル、ジンジャー、チョコレート、オリーブオイルなど様々なフレーバーこの日用意してくれたのは手作りのショートブレッド、サフラン、バニラ、シュガーヌードル、ジンジャー、チョコレート、オリーブオイルなど様々なフレーバー

フリーマンさんの奥様キャサリンさんはパティシエ。彼女が考案したフードやお菓子がショップには並ぶ。著書の『MODERN ART DESSERT』にはアートなお菓子がたくさんフリーマンさんの奥様キャサリンさんはパティシエ。彼女が考案したフードやお菓子がショップには並ぶ。著書の『MODERN ART DESSERT』にはアートなお菓子がたくさん

星野:
自分のコーヒーをどう定義づけますか?アメリカで手に入る他のコーヒーとどう異なりますか?
ジェームス:
味のバラエティーが売りだと思っています。1点だけにこだわりすぎることはしません。他のコーヒー焙煎屋はとてもライトロースト、しかもシングルオリジンに拘ったりします。私はよりライトな焙煎、そしてミディアムに近いものも好きです。さまざまな味をブルーボトルコーヒーで体験をしていただき、スペシャルな気分を味わって欲しいとも思います。さらに、コーヒーのみならず、体験そのものを提供したい。
それから、人々がコーヒーと一緒に食べるものもオリジナルで作りたいと思っています。質が良く、綺麗で、美しく、ほとんどがオーガニック認定を受けた良質な原材料で。北海道産の美味しい牛乳、オーガニックの砂糖、工房で焼く自家製パン。すべてを合わせてこの美味しい飲み物とともに提供する事を考えたいですね。
星野:
ブルーボトルは、エスプレッソやカプチーノよりも、ドリップ式のコーヒーに力を入れていますね。
ジェームス:
日本では、カリフォルニアに比べてドリップ式コーヒーやアイスコーヒーが本当に愛されていると感じるからです。カフェラテやカプチーノなども我々にとって全て大事です。でも、日本では、人々が我々を導いてくれています。ドリップ式が欲しいと言われ、作業台を増やしたり、熱湯タワーを増やしたり、要求に応えられるように整えました。
星野:
ジェームスさんが旅をしていた時に喫茶店にて経験したのはドリップ式のコーヒーですよね?
ジェームス:
はい、常に。
星野:
当時は、そうだったでしょうね。日本で体験した事だったのだろうなと思いました。私のイメージとしてはまずはドリップ式のコーヒーに力をいれて、エスプレッソタイプに力を入れているスターバックスやその他のコーヒー店があるので、そちらは後に力を入れて行くのかなぁと思っていました。
ジェームス:
そうですね。今、日本の他のコーヒーショップではブラックコーヒーを注文したら、既にドリップしたコーヒーをサーバーからから入れてもらうだけです。私はそれも改善したいんです。ブラックコーヒーを美味しく提供する最善の方法ではありませんから。
星野:
デモンストレーションはとても大事ですよね。
ジェームス:
はい。デモンストレーションやプレゼンテーションも大事ですが、やはり味です。風味こそが大事です。サンフランシスコ・オークランドに品質管理のための部屋があるのですが、そこで私は年中ブラインドテストを行っています。温度の違いやダブルブレンドなども、必ずすぐ判ります。
星野:
つまり味に差が必ずあるんですか。
ジェームス:
はい、私はそう思います。大きく差が出るのはコーヒーの提供の仕方によってだと思います。
星野:
なるほど、ちゃんとひと手間かけることに、まさることはないですね。
面白いですよね、本当に。Blue Bottle Coffeeが日本に来てくれてうれしいです。
ジェームス:
私もです。こちらで良いチームが作れました。私は本当に幸運この上ないと思っています。

構成: 森 綾
撮影: 萩庭桂太