×

share:

follow us:

  • facebook

星野リゾートを支える人たちの手しごと VOLUME 3 リゾナーレ八ヶ岳 ワイン醸造家 池野美映さん星野リゾートを支える人たちの手しごと VOLUME 3 リゾナーレ八ヶ岳 ワイン醸造家 池野美映さん

旅の魅力はその地域にあり
星野リゾートの施設の「個性」を担うのは、その土地を象徴するプロフェッショナル、職人さんや生産者さんの存在です。
彼らの仕事や目指すもの、発信力に着目し、日本各地の未知なる旅へとアプローチします。
文・さとうあきこ

八ヶ岳の自然の営み、複雑さをそのまま味わうワイン八ヶ岳の自然の営み、複雑さをそのまま味わうワイン

池野美映さん

ブドウ造りから醸造まで自らの畑と醸造施設で一貫しておこなう「ドメーヌ ミエ・イケノ」の代表取締役社長。2001年より渡仏し、国立モンペリエ大学薬学部D.N.O.専攻にて、2005年フランス国家資格ワイン醸造士取得。公立ワイン技術研究所での研修、南仏やブルゴーニュでのワイナリー勤務を経て帰国。2007年八ヶ岳山麓にて葡萄の栽培を開始。2011年には醸造所も完成、「ドメーヌ ミエ・イケノ」初ヴィンテージ(2009年)をリリース。

    

自然と文化、
人が織りなすワインの魅力

近年の国産ワイン人気をリードする造り手のひとり、「ドメーヌ ミエ・イケノ」の池野美映さん。彼女がワイン造りを志したのは、ワインという飲み物の中に「自然との共生や、フランスの文化、さらに人が造るものゆえの個性の違い」が、織りなすことに、強い興味を感じたからだと言います。フランスでワイン造りの全てを学んだ後、「太陽や風、雨粒といった、ここの自然全てをつめこんだワイン」をと、自らワイン造りに選んだのが八ヶ岳南麓の土地。子どもの頃から自然が大好きという池野さんにとって、ブドウ栽培から始めるワイン造りは、必然で自然な流れだったのかもしれません。

畑から日々教わる、
ワインは農産物

八ヶ岳の裾野、南西に南アルプス連峰と北岳、北に八ヶ岳、南には富士山と、山の眺望に囲まれた丘陵地にあるブドウ畑。訪れる人誰もがその美しい畑と景観に魅了されます。元は桑畑だった荒れた土地を開墾し、石を拾うことから始まった畑に、今ではシャルドネ、ピノ・ノワール、メルローのブドウがたわわに実ります。「畑での時間は楽しい反面、気が抜けません」と池野さん。「畑の状態とともに天候や気温を日々確認しながら、病害やカビの防除、蜂などの食害を予想して対応する。ワインは農産物ですから、ワイン造りの大半は農作業です」。

自然をありのままに
表現するために

池野さんのワインは、「これが本当に国産?」と驚く人も多い、一度飲むと忘れられない味わいです。八ヶ岳の自然の営み、複雑さもそのままに生み出されるワインは、手間も惜しまない、こだわりの造り方によるもの。ブドウは、化学肥料や除草剤、殺虫剤を使わず栽培。畑もありのままの自然に逆らわない「リュット・レゾネ」(有機肥料を使用する減農薬農法)で、雑草は取り除かない草生栽培を行っています。ブドウはすべて手摘み、粒単位で選果した後、日本で初めて導入された重力を利用して醸造する「グラビティ・フローシステム」を採用。これは、収穫後から最後の瓶詰めまで、ポンプなどによる人工的な負荷をブドウやワインに極力かけず、自然に落下する醸造法です。
秋に収穫されたブドウは、畑の中の醸造所でゆっくりと、唯一無二のワインへと花開いていきます。

月光と星空のもと摘む、
特別なワイン

ワインは品種、その年の天候や醸造法、そして造り手の考えや思いが絡み合い反映されて生まれるもの。「理想の造りを追えば、労力と手間も計り知れませんが、それだけに奥が深くて面白いものです」と池野さん。昨年は、この地域で100年に1度と言われる大雪(降雪1m50cm!)に見舞われました。ブドウの芽吹きの遅れもありましたが、その後は天候に恵まれ持ち直し、9月の収穫時には、シャルドネのナイトハーベスト(真夜中にブドウを摘み、そのまま仕込みまで行う特別な手法で造るワイン)も無事完了。夜中にブドウを摘むことで、高い糖度に加え、完熟したシャルドネの果実味、凝縮されたフレッシュな香りを逃さず収穫できます。新たな話題をよんだ2014年ヴィンテージに続き「月香シャルドネ2015 ムーンライトハーベスト」は、ただいま熟成中。目覚めの時を静かに待っています。

ワインができるまで

私の愛用品

ワイングラス

初ヴィンテージの記念に作られたオリジナルのワイングラス。毎年、「ドメーヌ ミエ・イケノ」の最初のワインの雫が注がれます。「ワイン造りの過程で、色や香り、熟成具合を確認するのもこのグラスで。赤でも白でも、ふくらみや酸味もきちんと味わえ、手にしない日はないでしょう。サイズもちょうどよく、扱いやすいので試飲会でも活躍します」。ブドウ畑の名前「レ・パ・デュ・シャ」(猫の足跡)に因み、エチケットと同じスマートなネコがプリントされています。

リゾナーレ八ヶ岳で愉しむ
Domaine Mie Ikeno

豊富な太陽、昼夜の寒暖差などワイン造りに適した環境に恵まれる山梨・長野の県境に位置する日本初のワインリゾート、星野リゾ―ト リゾナーレ八ヶ岳。

ワインに選ばれた土地「八ヶ岳」のテロワールを体感できるワインアクティビティや、八ヶ岳の恵みを享受したお料理とのペアリングディナー、ワイン用葡萄を使ったスパトリートメント、多彩なワインを揃えたショップなど、ワインを通じた豊かな滞在をご提案します。

YATSUGATAKE Wine house

ワインの銘醸地、山梨県勝沼~長野県小布施までを結ぶエリア一帯を「日本のワイン街道」と名づけました。その丁度中央に位置するリゾナーレ八ヶ岳ではドメーヌ ミエ・イケノを含め、街道沿い10エリアの個性豊かなワイン24種が揃い、サーバーからグラスで好きなものをテイスティングいただけます。春は華やかなロゼワイン、夏はキリリと冷えたシャルドネなど季節毎にテーマをもうけたご提案をしており、コージーな雰囲気の店内で気軽にワインをお楽しみいただけます。

OTTO SETTE

八ヶ岳の恵みを生かしたイタリア料理と、この地をこよなく愛するソムリエがセレクトするワインとの思いがけないマリアージュを提案するリストランテ。同じ風土・土壌で育まれた野菜で構成されたお料理と、ひと皿毎にワインをペアリングして愉しむ特別コース「Vino e Verdura」では、滋味深い味わいの野菜と秀逸なワインが重なり合うことで生まれる、素材同士の出会いをご堪能ください。

VINO SPA®

ドメーヌ ミエ・イケノの葡萄を使ったオリジナルトリートメントをご用意しています。醸造過程で生まれる種や皮、澱など、葡萄の副産物を余すことなく使ったトリートメント。ワインリゾートならではのワインとの新しい出会いをお楽しみいただけます。

月光乗馬

満月の夜だけ行われる月光乗馬は、古くから乗馬にゆかりのあるこの土地ならではのアクティビティ。馬の背にゆられて森を抜け、月明かりに照らされた幻想的な草原へ。ドメーヌ ミエ・イケノのワインとチーズを味わいながら、大人のためのナイトピクニックをお楽しみいただけます。

星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳

南アルプス連峰や八ヶ岳、富士山の雄大な自然に抱かれた星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳は建築界の巨匠マリオ・ベリーニが手掛けた日本屈指のデザインホテル。イタリアの山岳都市を思わせる街並みにはショップが並ぶ他、プール「イルマーレ」やリストランテ「オットセッテ」 等上質なリゾートライフを満喫できるサービスを提供しています。

https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/risonareyatsugatake/