何度でもりたくなる名湯

湯めぐり手帖湯めぐり手帖

心や身体をほぐし、豊かな時間を過ごせる
日本の温泉。
星野リゾートには、湯船から望む美しい景色や
心を落ち着かせてくれる香りなど、
五感で愉しめる個性豊かな温泉が数多くございます。
温泉ソムリエのかたあきこさんによる
秋ならではの温泉の楽しみ方もご紹介。

大切な人との距離がぐっと縮まる、
温泉の旅へでかけてみませんか?

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温泉旅のススメ

「温泉に行きたい」「旅に出かけたい」と思う時、二つのサインが出ているように感じます。「疲れた、休みたい、リセットしたい」という静のサインと、「旬の味と季節を楽しみたい、ワクワクしたい」という動のサイン。心身の疲れを癒し、好奇心を刺激し、明日の元気まで与えてくれるもの。それが温泉旅の魅力です。
 旅先でいつも驚くのは、地元の方の肌が綺麗で笑顔が素敵なこと。これはきっと共同湯という社交場で磨かれたもの。温泉が湧く所に人が集まり、宿が立ち、旅人が訪れ、交流が生まれ、相手を思う気持ちが心を豊かに!
 旅は非日常。ふだんとは違う自然環境や旅館の美しい空間で、五感が刺激されたり、ほっとできたり、もてなしに癒されたり。温泉旅に出かけてゆったりとした時間を過ごしましょう。次第に笑顔が増えていくはずです。
「あの温泉旅館に行けば元気になれる」。そう安心できる場所が全国にあると人生がより楽しくなると思います。

のかたあきこ

旅ジャーナリスト。日本の「町・人・温泉・宿」をテーマに28年間、全国を取材。テレビ東京『ソロモン流』で「旅賢人」と紹介される。
宿本『旅美人SPECIAL』編集長。温泉ソムリエアンバサダー、サウナ・スパプロフェッショナル、日本温泉地域学会会員、銭湯検定ほか、入浴関連の資格多数。傾聴スペシャリスト、準サービス介助士。ほかに睡眠健康指導士や日本茶検定1級を取得し、旅と日本茶とお風呂の素晴らしさを発信中!福岡県出身。 http://nokainu.com

温泉づく秘密

秋を知らせる紅葉。例えば軽井沢のカラマツは黄葉に、嵐山のモミジは紅色に葉を染めながら次の季節を迎える準備をしています。紅葉して落葉するのは木に栄養を蓄えるための冬じたく。
色づきに絡めて、色づく温泉 “にごり湯”を紹介します。
奥入瀬渓流ホテルは硫黄が香るやや白濁した単純温泉。星のや東京は海のミネラルであるヨウ素を含んだ琥珀色の塩化物強塩泉です。
にごり湯といってもほとんどの場合、源泉はほぼ無色透明です。空気に触れることで、鉄分を含むものは酸化して鉄錆色に (代表例:伊香保や有馬)、硫黄成分は乳白色に (代表例:乳頭温泉郷、万座、草津)、メタケイ酸は青磁色 (代表例:別府明礬) になります。また珈琲色のモール温泉 (代表例:十勝川) は太古の植物に由来するフミン酸に色づきの秘密があります。
温泉は地球の贈り物。雨水などが長い年月をかけて地面に浸透する中で、ミネラルを蓄え、やがてマグマであたためられ地上に湧出。だから色や温度や香りは多種多様。その個性が入浴の楽しみになるわけです!

温泉芸術家

青森県奥入瀬渓流ホテルには岡本太郎制作の暖炉がシンボリックに存在しています。高さ8.5mもの暖炉『森の神話』は80歳の時の作品。奥入瀬を愛し、その色彩を「100万色もあるかのよう」と讃えています。静岡県吉奈温泉の御宿さか屋には自身設計の風呂があり、抱かれるような曲線美の湯船は独特の雰囲気を醸し出しています。
作家が愛した温泉宿も全国に点在。兵庫県城崎温泉を一躍有名にした志賀直哉の『城の崎にて』は、療養で訪れた三木屋で執筆した短編小説。川端康成の『雪国』執筆の新潟県越後湯沢温泉高半や、夏目漱石滞在の静岡県修善寺・菊屋、与謝野晶子ゆかりの群馬県法師温泉のほかに、宮沢賢治が過ごした岩手県大沢温泉、版画家・棟方志功ゆかりの岡山県奥津温泉など、心身の疲れを癒す温泉は作り手の創作意欲を刺激したことでしょう。
芸術家ゆかりの宿に泊まった時、作品世界とシンクロするような、はじめてなのに懐かしいデジャブ体験が訪れます。時代を超えて繫がる感動。
旅っていいなと感じる瞬間です。

秋に行きたい温泉宿秋に行きたい温泉宿

秋の夜長の温泉滞在、紅葉の湯町へ!秋の夜長の温泉滞在、紅葉の湯町へ!

暑さがやわらぎ過ごしやすい季節になりました。今年も、紅葉が色づく美しい湯町へ出かけませんか。
秋の味覚はもちろん、伝統工芸や地域文化にもふれられる温泉旅館を紹介します。秋の夜長を五感で楽しむ心豊かな旅!

栃木路で紅葉と民藝三昧の温泉旅

鬼怒川

鬼怒川に面した小高い丘の上に佇む宿。ガラス張りのスロープカーは紅葉を眺める特等席。モミジの中庭を囲むように宿は建ち、露天風呂では錦繍の山々と対面します。泉質は肌に優しいアルカリ性単純温泉。全48室が「とちぎ民藝の間」で、そのうち20室は温泉の露天風呂付きです。

  • 界 鬼怒川
  • 界 鬼怒川

栃木県/
鬼怒川温泉

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寄木と紅葉を愛でる奥湯本の絶景宿

箱根

湯本温泉の須雲川沿いに立ち、全32室や大浴場はリバービュー。半露天風呂の湯船に秋は対岸の紅葉が映り込み幻想的です。ナトリウム-塩化物泉は、よく温まる美肌の湯。地域を紹介する“ご当地楽”のテーマは寄木細工。材料となる木の話から箱根の森が学べるのも魅力です。

  • 界 箱根
  • 界 箱根

神奈川県/
箱根湯本温泉

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日本最古の美肌湯と国宝松江城の秋

玉造

玉造温泉は『出雲風土記』にも登場する歴史ある温泉です。泉質はナトリウム・カルシウム・硫酸塩・塩化物泉。肌の古い角質を落とし、潤いをもたらす美肌の湯です。全24室に信楽焼か檜の温泉露天風呂が備わります。2015年に国宝に指定された松江城は車で20分。お堀を一周する堀川遊覧船で楽しむ紅葉風景は乙なもの。

  • 界 出雲
  • 界 出雲

島根県/玉造温泉

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茶処ならではのもてなしと、
ふぐを楽しむ湖畔の宿

遠州

浜名湖畔にたたずみ、全33室がレイクビュー。保温と保湿に優れた温泉は、全国屈指の塩分濃度を誇るナトリウム・カルシウム-塩化物強塩泉。国産ヒバの露天風呂や、石造りの庭園露天風呂で満喫できます。中庭にはツツジと茶の木を交互に配置した「つむぎ茶畑」があります。11月頃にはツツジが紅く染まり、浜松の伝統織物・遠州綿紬のような縦縞が現れます。秋冬限定のふぐを味わい尽くす贅沢な会席「ふぐづくし会席」は10月中旬~楽しめます。

  • 界 遠州
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静岡県/
舘山寺温泉

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のかたのオススメ温泉宿のかたのオススメ温泉宿

界 別府「ドラマティック温泉街」をそぞろ歩く 全客室別府湾ビューの温泉旅館
界 別府「ドラマティック温泉街」をそぞろ歩く 全客室別府湾ビューの温泉旅館がオープン界 別府

日本一の源泉数と温泉湧出量を誇る別府温泉郷に2021年7月8日、「界 別府」が誕生しました。「別府八湯」のひとつ・別府温泉の中でも、“別府はじまりの地” 旧別府港の北浜地区に位置し、全70室が別府湾ビューです。シンボルの高崎山のほか、晴れた日は四国も見えます。旧別府港は明治時代の開港後、湯治客の玄関口として賑わい、温泉街の発展に大いに貢献しました。

大分空港から車で約50分。玄関からフロントへ向かうエレベーターの扉が開くと、和紙の提灯が照らす「湯の広場」の向こうに、海と空が見えて開放感いっぱい。湯の広場に並べられた手湯の桶には源泉が滔々と流れ落ち、温泉情緒を盛り上げます。併設する足湯は、水平線や朝日と対面する絶景スポットです。

客室はすべて「柿渋の間」と呼ばれるご当地部屋。別府名物・血の池地獄から着想を得た柿渋色で壁や襖が彩られ、窓一面に広がる海の色との対比が見事です。色彩にアクセントを添えるインテリアは、伝統の「豊後絞り」。照明やヘッドボード、フットスローに豆絞りや蜘蛛絞りなどの技法が使われます。

特別室には温泉の露天風呂があり、潮風を感じながら海や星空まで楽しめます。泉質はナトリウムー塩化物・炭酸水素泉。よくあたたまり、肌がすべすべになる美肌湯です。露天風呂を備える大浴場には、ぬる湯とあつ湯の湯船があり、交互入浴で血行を促進します。自家源泉を2本所有する温泉自慢の宿です。

宿のテーマは「ドラマティック温泉街に逗留する宿」。設計・デザイン担当の建築家・隈研吾さんは「“ドラマティック”は、朝・昼・夕方・深夜などの時刻や、季節ごとに変わるシークエンスを表現するのにぴったり」とコメントします。「館内を色々と歩きまわり、空気・風を感じて欲しい」とも。路地を模した石畳の廊下には暖簾が掛かるライブラリーや売店があり、そぞろ歩きができます。

竹灯りの食事処での夕食は、大分の恵みを味わう会席料理。メインは旬の魚介や伊勢海老が彩り、海の幸を満喫する「豊後なべ」。かぼすの爽やかさで食がすすみます。夜は、庭園やラボに夜店や「温泉名人」が登場するほか、湯の広場ではご当地楽・湯治ジャグバンドの演奏も。明治時代より人・モノ・文化を運んで発展した別府港ゆかりの温泉街を、「界 別府スタイル」で再発見しませんか。

春夏秋冬、四季のある日本を楽しむ温泉旅。 これからもあなたの「湯めぐり手帖」には素敵なページが続いていくことでしょう!春夏秋冬、四季のある日本を楽しむ温泉旅。 これからもあなたの「湯めぐり手帖」には素敵なページが続いていくことでしょう!